安倍政治はいつまで続くのか

第二次安倍内閣が発足して既に足掛け4年になりますが、いまだに安倍首相の支持率は5割以上をキープしています。これには、いくつかの理由が考えられます。

第一次安倍内閣の時、安倍首相は、どちらかというと観念的であり、国民の最大の関心事である経済や生活などを重視していませんでした。本来、政治というものは、民衆の望むものを提供することから始まるのですが、当時の安倍首相にはその考えが足りなかったのです。
そのため、参議院議員選挙で敗北し、政権の座を追われることになります。この時の教訓が今の政権運営には生きています。まず、民主党政権時代のあまりのひどさに国民が嫌気をさしていたタイミングに登場して、民主党の経済政策に対してアンチテーゼとなるアベノミクスを掲げたのは、大きなポイントでした。相手に対して何でも反対、という事ではなく、対案をきちっと出した点が、高く評価されたのです。

その後のアベノミクスの進展としては、主に日銀による金融緩和とそれによる株高、および円安の演出という手法で、現在の好景気を現出させました。本来であれば、財政再建のために消費税を上げるべきところを、日銀に国債を買い上げさせるという、今までは禁じ手とされていた方法を使って、財政破綻の危機感を先延ばしにした政治手腕はさすがなものといえるでしょう。景気にとっては、緊縮財政は決して好ましいものではないからです。しかし、現在の国家財政の借金体質を永遠に続けていくことは出来ません。いずれは破たんが訪れることを国民に知らせないというのは、政治家としてどうなのかという疑問もあります。安倍首相の政治手法の多くは、師である小泉元総理のものと類似している点がいくつも指摘されていて、特に党内基盤を固める方法などは、小泉氏のとった方法そのものですが、こと、財政に関しての考えについては異なるようです。

アベノミクスの第3の矢である規制緩和についても、かつてよりは進展がみられるものの、諸外国に比べればやはり岩盤と言われる規制の厚みが崩壊したとは言い難い状況です。これには国民の意思も垣間見えます。実のところ、規制緩和という言葉自体は耳に心地よいのですが、実際に行われてみると、粗製乱造の商品やサービスが出回ることにも繋がります。規制緩和はこれまで守られてきて安全はタダと思っている国民にとっては、自己責任で取捨選択するよう迫るものですから、各論になると外ならぬ国民の間から反対が起こる場合があるのです。