経済指標から何を読み取るか

経済に関するニュースはいくらか学習した経験がないと分かり辛い面があります。
新聞などで専門用語が次々に出てくると概略は掴めても真意は理解できないと悩む方もいるでしょう。
ただ経済は大きな流れさえ把握していれば心配いりません。
年間にさまざまな経済指標が発表され、現状と近い将来の景況の見通しが語られます。
しかし政治的要因や気候、紛争などで急に変化することもあります。それはあくまで指標発表時点から見た予想に過ぎません。先のことは誰にも分らないのです。

重要な指標としてGDPがあります。四半期ごとに内閣府によって発表され、どのくらい付加価値を国内の企業が生み出したか客観的に見られます。この付加価値が前年と比較して増えたか否かで経済成長率を算出します。例えば、A株式会社が100円のチョコレートを作るのに30円の原材料費を使うとします。この場合付加価値は70円生み出されました。この考え方を日本国内の企業全体で合計したものがGDPです。前年合計が100億円で今年が102億円ならば名目成長率は2%というわけです。なぜ名目なのかと言えば、物価の変動を加味してないからです。いくら付加価値が2%増えていても、物価が2%上昇すれば実質は成長していないのと同様です。
実質GDPは国の現状を把握し、今後の経営方針を考えるためにも重要な指標です。この他に個人のお金に関する指標として消費者物価指数があります。総務省から毎月発表され基準の年からどのくらい物価が上下しているか数値化します。上昇している場合は企業の業績も堅調ですし、労働者の賃金も上がる傾向があります。

一方下降していれば逆の結果になります。このような数値を基にして政府は財政政策や金融政策の方針を決めます。思うように消費が拡大していなければ、増税を見送ったり金融緩和によって銀行が企業により融資し易い環境を整えます。需要が伸びなければ公共事業で企業を潤す方法も用いられます。ただ財政や金融政策では限界があり、あくまで成長が見込める産業が生まれるまでの中継ぎ策といえます。いかに成長産業を生み出すかこの点が大変重要で、産学一体となり成長が見込めるロボット分野や医療分野などを共同で研究開発をしています。成熟しモノが豊富にある社会では、昭和の行動経済成長期と同じように需要を喚起するのは容易ではありません。それでも人の欲求があるところ需要はあるのです。二桁成長を継続することは難しいにしてもマイナスにならなければ人々の暮らしは大丈夫といえます。