経済ニュースで話題になったビットコインの分裂問題


最近、経済ニュースなどで頻繁に取り上げられるのが仮想通貨ビットコインに関する話題です。
2017年8月1日を迎える数日前からは、ビットコインの分裂騒動に注目が集まりました。ビットコインのシステムを担う複数の関係者がシステム更新の方針を巡って対立したことが問題の発端となっています。
そもそもこの対立の根幹にあったのは、ビットコインの利用者が増加したことで送金や決済の確定に以前よりも時間がかかるようになってしまったという問題です。

2017年の初頭ごろから、決済や送金に以前よりもだいぶ時間を要するようになったと実感する利用者が増え始めたと言います。
中には送金したビットコインが相手に実際に届くまで1週間ほどかかったと証言する利用者もいたほどです。
この問題を解決するため、システムの技術者などの関係者がビットコインの処理能力を高める方法について議論しましたが、結局は折り合いがつきませんでした。システムが刷新されてビットコインの処理能力が高まることは利用者にとっては嬉しいことですが、採掘(マイニング)という作業によってビットコインを得ている人々には嬉しい話ではありません。ビットコインの採掘は、その決済や送金などの承認作業を自分のコンピューターで行う人々によってなされます。

処理能力が早まれば自分たちの行う承認作業の量が減ってしまうため、得られる仮想通貨の量も減ってしまいます。
システム更新に反対する人々が存在するのはこのような理由によります。
こうした中、システムの更新に同意できない中国の一部事業者が「ビットコインキャッシュ」を新たに誕生させ、ビットコインは分裂することになりました。

8月1日の夜の経済ニュースでは、日本時間の22時30分ごろからこの分裂が始まった模様と報じられました。これに先立ち、ビットコインを扱う取引所や店舗などでは、ビットコインの決済や送金を含む一切の取引を一時的に停止しました。不測の事態や混乱が生じることに備えた措置です。しかしながら、この分裂騒動も目立った混乱はなく終わりを迎えました。

ビットコインの分裂により、ビットコインの利用者は、保有するビットコインと同額の新通貨ビットコインキャッシュを得ることになります。つまり、1ビットコイン保有していた人は、これに加えさらに1ビットコインキャッシュ保有することになります。しかし、ビットコインビットコインキャッシュでその価値を分け合うため(両方あわせて従来と同じ価値になるため)、実際の価値は2倍にはなりません。

ビットコインの分裂後も、ビットコイン相場は大きな混乱なく推移しているようです。分裂後、ビットコインは史上最高値を付けるなど、利用者や投資家からの人気は衰える気配を見せません。一方、ビットコインキャッシュは最初の2日間で価格が3倍にまで上昇しましたが、1週間後には最初の水準にまで値を戻しています。